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鳥インフルエンザとBSE
「鳥インフルエンザが発見されて,鶏が焼却処分・・・・」
焼却というは,焼き鳥にするのでも丸焼きにするのでもありません。
真っ黒焦げの灰にしてしまうのです。
「わー,もったいない,わたしにくれればいいのに」と思うでしょう。
わたしもそう思います。
屠殺した鶏をくれれば,喜んで食べるのに・・・・。
医者がそんなこと言っていいのか?
いいんです。医者だからこそ,自信をもってそう言える。
インフルエンザを引き起こす病原体はウイルスです。
ウイルスはとても小さい(普通の光学顕微鏡では見えない,
電子顕微鏡でないと見えないくらい小さい)のですが,
一応は生き物です。
そして,ほかの生き物の細胞,たとえば鶏の細胞やヒトの細胞,
の中でしか生きて行けない, そんな生き物です。
自分が住み着いている生き物(たとえば鶏やヒト)が死んだら,
ウイルスもそのうちに死にます。
だから,インフルエンザに感染した鶏でも,
死んでしばらく時間がたてば安全です。
感染したウイルスも一緒に死んでしまっているからです。
まして,煮炊きすれば,絶対安全。
ウイルスは100℃の熱で死んでしまうから。
だからわたしは,インフルエンザ感染が見つかって
屠殺された鶏を譲り受けたい。
もらってきて,うちで料理して食べたい。安全だと確信しているから。
じゃあ,鳥インフルエンザなんて平気・・・・ではありません。
生きている鶏は危険です。
生きている鶏に接する人,養鶏場や屠殺場で仕事している人は
気をつけなければなりません。
一般消費者は安心です。
スーパーでパック詰めされて売られている鳥肉は絶対安全です。
これと対照的なのがBSEです。
BSEを引き起こす病原体はプリオンというものです。
これはウイルスのような生き物ではありません。
命のない「もの」です。
だから,牛が死んでも,その中にあるプリオンは壊れません。
それどころか,普通に調理する温度(せいぜい250℃くらい)に
加熱したくらいでは壊れません。
真っ黒焦げの灰になるくらいの温度
(800℃から1000℃くらい)に加熱してやっと壊れます。
だからBSEは牛を殺しただけでは防げない,
煮ても焼いても防げない。
焼却処分してやっと安心できるのです。
やっかいですね。
でも,生きている牛のそばにいても平気です。
プリオンは牛のそばにいるだけではうつらないのです。
鳥インフルエンザとBSE。
最近何かと話題になる病気ですが,
それを引き起こす病原体は全然別物です。
違いをわきまえて,注意すべきことは注意して,
余計なパニックは起こさず,賢く対応してください。
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