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HOME>>メンタルヘルス最前線>> 精神科の措置入院について

第29回  精神科の措置入院について

前回は医療保護入院という強制入院について説明しました。医療保護入院のためには、資格をもった精神科医と患者さんの保護者の同意が必要でしたね。

今回はもう一つの強制入院である措置入院についてお話したいと思います。

医療保護入院とはどこが違うのでしょうか? 一番大きな点は保護者の同意がなくても強制的に入院にできることです。それでは誰の命令でどのようにしたら入院となるのでしょうか?精神保健法の条文にはこうあります。

「都道府県知事は、規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神病院又は指定病院に入院させることができる。」

つまり措置入院は知事の命令による入院なのです。なんだが話が難しくなってきましたが、実際は知事と面談するわけではありません。 これはあくまで書類上のものですが、だれかの命令がなくては入院にできないため「知事の命令」ということになったのです。それだけ強制力が強いということです。

「規定の診察」とありますが、これはどのような診察なのでしょう?

措置入院のためには、二人以上の精神保健指定医の同意が必要なのです。この点が医療保護入院とは違います。通常は病院に知事の命令で2人の指定医が派遣されてくるのですが、この2人の意見が一致していなければいけません。つまりどちらかが入院反対であれば入院とはなりません。

それではどのような人が措置入院となるのでしょうか? 条文には「自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある」とあります。つまり自殺行為が切迫していたり、また興奮して他人を傷つける恐れが高い人が措置入院になるのです。 私の経験では統合失調症うつ病で自殺しようとして実際に刃物でお腹を刺したり、興奮して他人に殴りかかったりする人が多かったです。そのため警察と一緒に病院につれてこられます。

ただ現実にはそれほどひどい症状がなくても措置入院となることがあります。それはどんなときでしょう?
それは、家族などの保護者がまったくいないときです。 つまり保護者がいないため医療保護入院にすることができないのです。しかし自宅にも帰すことができず仕方なく措置入院として入院させることもしばしばあります。こういう患者さんは措置入院といってもいたって穏やかです。

入院後はどうなるのでしょう?措置入院を解除するためには精神保健指定医の同意が必要です。指定でない精神科医では措置入院を解除することはできません。それだけ厳しい制約があるのです。
(※「精神保健指定医」 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

また殺人や暴行などの罪を犯した人の入院はとても慎重におこなわなくてはいけません。私の知っている病院でも看護職員が殺された事件がありました。そのため食事や介助のときは複数の職員がついて行わなくてはいけないのです。

殺人事件など聞くと大変恐ろしくなりますが、実際は非常に稀なケースといっていいでしょう。措置入院の患者さんといっても穏やかな人もたくさんいます(保護者がいないため措置入院になった人など)。

余談ですが精神科医があつまる飲み会だと酔っ払って興奮した人がいると「措置入院だ!」と冗談を言う人がいます。指定医が2人いれば措置入院にできるため冗談ともいえません。みなさんも精神科医があつまるところでは暴言は気をつけましょう。

堀江賢治

投稿日:2006年8月30日

 

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