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HOME>>メンタルヘルス最前線>>パニック障害について

第2回 パニック障害について

「Aさんは30歳の男性です。体格はがっしりしていて、今までこれといった病気をしたことがありません。床屋の仕事をしています。いつもどおり店で仕事をしていたところ、突然息苦しくなり、ひどい動悸とめまいに襲われました。慌てて救急車を呼び病院へ。病院で心電図等の検査したところ『全く異常はありません』と言われました。」

皆さんはAさんの何の病気だとおもいますか!?心臓発作でしょうか?それとも肺の病気だと思いますか? 

もうお分かりの方もいるとおもいます。答えは「パニック障害です。

「なんじゃそれ」と一昔前ならそんな反応でしょうが、いまやパニック障害は新聞やテレビで取り上げられるほどメジャーな病気となっています。アメリカのAPA(アメリカ精神医学会=American Psychological Association)の報告では75人に一人がこの病気をもっているということです。

日本の人口を一億二千万人とすると実に160万人もの人がこの病気で苦しんでいるのです。すごい数ですね。パニック障害は決して珍しい病気ではないのです!パニックとはあたふたして「頭の中がもうパニックよ!」という意味でのパニックとは違います。この場合のパニックとは突然予期せずおこる、動悸・呼吸困難・嘔気・手足の痺れなどの症状の事です。あまりにも激しい症状のため、ほとんどの患者さんはみんな「このまま死ぬかと思った」と訴えます。

私の知っている患者さんは、「いきなりバクンバクンとした。『助けて!』『このまま自分は死ぬんだ』と思った」と話していました。急いで救急車を呼んで病院へ直行。しかしどんなに検査してもいっこうに異常はみつかりません。「気のせいでしょう」とか「疲れていたんじゃないですか」などあっさり言われ帰される人もいます。原因もわからずに突然襲ってくるこの病気はいったいどんな病気なのでしょう?

パニック障害とは不安障害という精神科の病気です。突然予期せず、動悸や呼吸困難、吐き気、胸痛を訴える人もいます。 心臓発作と間違えても無理はありませんよね。

本当の心臓発作ならこのまま放っておいたら命に危険がありますが、パニック障害の発作では絶対に死にません。時間が経てば必ず症状は治まります。心臓も肺も何の異常もないのですから! しかし当の患者さんからしてみればそんな風には思えません。「死ぬかもしれない」という恐怖におびえているのです。この得体の知れない病気。一体全体どこに異常があるというのでしょう! その原因はなんなのでしょうか。

パニック障害の一番の原因はストレスといわれています。それもただのストレスではありません。私の印象ですが、肉体的にも精神的にもくたくたに疲れている人、そんな人が危険です。80%でいいところを200%も300%もがんばってしまう、そんな人に多いですね。つまり凄い頑張り屋さんに多いんです。たまりにたまったストレスが耐え切れず、パーンと破裂したときに発作がおきます。では何でこんなに頑張ってしまうんでしょう。

その理由は患者さんの多くは生真面目で羞恥心が強いため、なかなか人には相談できないからです。

「人に言ったらきっと変な風に思われる」といってなかなか身近な人にさえ話そうとしません。いや身近な人ほど話しにくい場合もあります。私の知っている方は、何年もご主人に話せず苦しんでいました。つらいですね。 皆さんのなかにもそういう経験をされた方がいらっしゃるかもしれません。患者さんのこうした性格は幼児期の環境も影響しているといわれています。

イギリスのある調査ではパニック障害の女性の63%に「両親の無関心」「性的肉体的虐待」といったつらい体験があったとのことです。そうした養育環境のため傷つけられることを極端に恐れるようになります。

 「人に嫌われたらどうしよう?」

結局自分ひとりで抱え込んでしまうのです。そのため中には自殺を図る人もいます。あるアメリカの研究ではパニック障害の実に26%が自殺を企てるといいます。

さてどの程度ストレスがたまると恐るべき発作がおこるのでしょうか?またパニック障害の発作が起こる前になにか前兆のようなものはあるのでしょうか?

これは人によって差があります。 全く前兆がない人もいます。最近妙に動悸がする、今まで感じたことがない不安を感じる、疲れやすいというような症状があったら一度心療内科や精神科を訪れるのがいいと思います。

しかしストレスがどんなに溜まっても全ての人がパニックを起こすわけではありません。 ではなぜパニックを起こす人と起こさない人がいるのでしょう。またその違いは何なのでしょうか。それは次回報告したいと思います。

堀江賢治

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