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第16回
うつ病の代替療法
前回は抗うつ薬による治療法について説明しました。抗うつ薬は大変力のある薬ですが副作用も強く、服用を継続できないこともあります。今回は抗うつ薬などの西洋医学による治療法以外の方法について説明していきたいと思います。 「代替療法」と書きましたが、これは一般的な西洋医学の治療法とは異なる治療法の総称です。
具体的には薬草や漢方、様々なリラクセーション方法をつかって治療するのです。うつ病によく使われるのはセントジョーンズワート(St.John’s wort)とよばれる薬草です。これはセイヨウオトギリソウとよばれる薬草から抽出したものです。他の抗うつ薬との比較で軽症から中等症のうつ病で効果があることが報告されています。より重症のうつ病患者に対しての研究ではプラセボ(偽薬)と比較して効果はなかったと報告されています。重症のうつ病に対しては医師とよく相談しての使用がのぞましいです。副作用の報告は少ないですが、口渇、下痢、めまいなどの報告があります。またある種の抗がん薬や、エイズ治療薬と相互作用があるため、これらの薬を使うときは医師に相談してからにしましょう。抗うつ薬に比べて副作用が少ないため継続して服用している方が多いです。
瞑想もうつに効果があるといわれています。瞑想については別回の「瞑想とは」を参照してください。
ほかにはバイオフィードバック療法、イメージ療法などの心と体の相関作用を利用した治療(Mind Body Medicine)があります。
バイオフィードバック療法というのはリラクセーションにより自分の血圧や皮膚温をコントロールする方法です。日本でもいくつかの機関でおこなわれています。パニック障害や他の不安障害などに使われますが、うつ病にも効果があるといわれています。やり方は非常にシンプルです。
自分の脈拍数や血圧、皮膚温などを測りながらリラクセーションを行うのです。 するとやっている本人もどれだけ計測値が変化したかで、リラクセーションの度合いがわかるのです。自分の状態が客観的にわかるため、よりスムーズにリラックス状態に入っていくことができます。
イメージ療法とはイメージを利用して深いリラクセーション得る方法です。私たち人間は絶えず頭の中でいろいろ考えています。一日で約1万もの数のイメージが頭の中を駆けめぐるといいます。不幸なことにそのうちの半分以上がネガティブなイメージであるとのことです。つまり私たち常にはネガティブなイメージによって暗い気持ちになったり、心配しなくていいことを心配したりしているのです。イメージ療法は明るいイメージを頭の中でえがくことによって、ポジティブな思考になるよう修正していくのです。やり方は簡単です。まず目を閉じます。頭の中できれいな自然の環境の中で自分が座っていると想像してください。明るい日差しの中で川の流れる音や、鳥の鳴き声が聞こえます。しばらくその中に自分がいると想像してください。とても心地よくリラックスした気持ちになります。毎日つづけていると次第に気持ちが明るくなり、考え方もポジティブになっていきます。イメージがつかめるようになると今度は、自分の病気がその心地よさのなかでよくなっていくことを想像します。「病気がきえてなくなっていく」など肯定的な言葉を心の中で繰り返します。イメージの力で心と体の状態がよくなっていくのです。
イメージ療法はいくつかの研究でも効果があることがわかっており、うつ病だけではなくアルコール依存症や不安神経症、また癌などの身体疾患にもつかわれています。
他にも様々な代替療法があります。マッサージ療法もうつ病に効果があるといわれています。サプリメント、ビタミン療法、リフレクソロジーなども治療に用いられます。代替療法の治療法に関しては下記のホームページを参照してください。英語ですが、最新の研究も含め様々な情報がのっています。
http://nccam.nih.gov/
アメリカでは代替療法にたいする関心は強く多くの人が利用するようになってきています。治療法の研究もさかんであり、代替療法を用いる医師や医療関係者も増えてきています。日本も徐々に普及しつつあります。興味があるかたは専門家に相談しながら一度試みてはいかがでしょうか。
堀江賢治
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