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第15回 うつ病とは パート2
前回はうつ病とはどんな病気かを説明しました。今回は治療について説明していきたいと思います。
うつ病の治療の中心となるのは薬物療法です。抗うつ薬とよばれる様々な種類の薬が販売されています。
大きく分けて以下に分類できます。
- 三環系抗うつ薬
- 四環系抗うつ薬
- 選択的セロトニン再取り込み阻害薬
- その他
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現在もっとも臨床で使われているのはなんといっても3番の選択的セロトニン再取り込み阻害薬でしょう。
これはSelective Serotonin Reuptake Inhibitor(略してSSRI)といいます。
うつ病には脳内のセロトニンという神経伝達物質が関係しているといわれています。
セロトニンは気分の安定や不安感の軽減に関係しているといわれています。
脳はニューロンという神経細胞のかたまりでできています。
この細胞は大きな頭と細長いしっぽから
成り立っており、
触手のような形をしたものが何本も頭から生えています。
その触手が別の神経細胞のしっぽとつながっているのです。この連結部はすこし空洞があいており、しっぽの先からこの空洞にセロトニンが分泌されます。分泌されたセロトニン
はしばらく空洞を浮遊して、一部はもとの細胞に吸収されてしまいます。SSRIはこの吸収
をブロックする働きがあるのです。すると分泌されたセロトニンはどうなるでしょう?
どんどん空洞に分泌し続けるのです。そのため徐々にセロトニンの量が増えていくのです。
代表的なものにパロキセチン(商品名パキシル)、フルボキサミン(商品名ルボックス、デプロメール)があります。従来問題とされていた副作用が少ないというのが特徴で非常に使いやすいくすりです。
私も第一選択として使います。「気分が楽になった」とよく聞かれます。
しかし一部の人に吐き気、胃のむかつきといった副作用が出現し、途中で服用を中断せざるを得ないことがあります。また非常に落ち着かない状態になったり、感情の抑制がきかなくなる方もいます。薬の使用は医師の指導のもと十分気をつけて使用する必要があります。 さらに重度のうつ病には効果が乏しいという印象があります。
重度のうつ病には1番や2番の環系の薬を使います。
環形の薬とは従来よりうつの薬としてつかわれてきたものです。これはSSRIなどの薬に比べ効果が強いといわれています。私の経験でも割としっかりして安定した効果をしめした患者さんが多いです。
なぜ「環形」とよばれているのでしょう? 理由はそのなのとおり輪っかのような分子構造をしているからです。ひろくいままで使われてきてその効果も確かめられてきました。
では新しく登場したSSRIとはどこが違うのでしょうか? 環形のくすりは非常に不快な副作用がでてしまうのです。具体的にはのどが非常にかわくとか、尿がでにくくなるとかです。お年寄りの方に使
うとはっきりとでます。この副作用は「抗コリン作用」とよばれる作用によるものです。
環形のくすりは「アセチルコリン」といわれる大切な神経伝達物質の流れをブロックしてしまうのです。アセチルコリンは唾液を分泌させたり、排尿をうながしたりする働きがあるため、これがブロックされると上記のような症状が出現するのです。これにたいしてSSRIは主にセロトニンに作用するため、環形のくすりのような副作用は出現しないのです。
環形の薬は高齢者には副作用が強くでることもあり、なかなか使いにくいものです。
4番のその他ではミルナシプラン(商品名トレドミン)がよくつかわれます。これはSNRI(Serotonin Noradrenalin Reuptake Inhibitor) といってセロトニンとノルアドレナリンという両方の脳内物質の取り込みを阻害するものです。これも副作用がわりと少なく、使いやすい薬です。
そのほかには胃薬としてもつかわれるスルピリド(商品名ドグマチール)や、睡眠剤の効果も兼ね備えたトラゾドン(商品名デジレル)などがあります。これらも副作用が少なく使いやすい薬です。
うつ病の治療で日本でもひろく行われているのは電気けいれん療法electroconvulsive therapy(ECT)とよばれるものです。これは麻酔をした状態で頭に電極をあてて、弱い電流を数秒間ながすものです。 無けいれん法と有けいれん法の二つがあり、無けいれん法は筋弛緩薬を投与して通電中のけいれんをおこさないようにしたものです。欧米でもひろくおこなわれているものです。日本ではまだ有けいれん法が精神病院を中心におこなわれています。通電後激しくからだをけいれんさせ、眼球が上転します。 しばらくはもうろう状態で1時間後より覚醒します。非常に威力のある治療法であり、薬が効かない難治性のうつ病に効果があります。副作用は健忘をのこしたり、通電中に骨折や心停止をおこすことがありますが、非常にまれです。この治療法は非常に賛否両論があります。ECTについては下記のホームページがくわしく解説されています。
http://square.umin.ac.jp/tadafumi/ECT.html
うつ病はきっちり治療すれば改善がみられる病気です。しかし現実には薬の副作用に苦しんだりして服薬が継続できなかったり、難治性のものもあります。また服用を続けないと再発のリスクもあります。最近ではハーブなどを使い、なるべく抗うつ薬をつかわず治療する方法が盛んになってきました。アメリカでもその傾向は顕著でさまざまな治療法がおこなわれています。次回はそのいくつかを紹介したいとおもいます。
堀江賢治
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