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HOME>>真宮薬剤師コラム>>薬の体内での働き1

薬の体内での動き

前回までのお話しで、色々な剤形がその目的に合わせて作られ、使われてきていることをお話ししました。それでは、薬は身体の中に入ってから、どこをどう通って、効果を現しているのでしょう? 自分の身体の中に入るもののことですから、気になってしまいますよね。

 実は、身体の中に入ってからの動きは、薬でも、医薬部外品でも、サプリメントでも――――それどころか、毎日私たちが食べてる食事でも、みんな同じなんです。

 ですから、普段は薬を飲んでいないけど、健康のためにサプリメントを飲んでいる、とか、食べ物がどんな風に身体の中で役に立っていくか気になる方にも、このお話は役に立つことでしょう。

 では、そのことについて、できるだけわかりやすくお話ししていきますね。

 薬の中で、一番ポピュラーなのは、何と言っても内服薬。

 はい、ここで前回までのおさらいです。

 内服薬には、粉剤、カプセル剤、錠剤、内用液剤があります。形は違えど、口に入れて飲み込む、という使用法は同じ。ここから、薬の体内での旅がはじまるのです。

 身体の中には、口から体内に入ったものを消化するための消化酵素がいろいろあります。口からはデンプンを分解するアミラーゼをたっぷり含んだ唾液が分泌されます。飲み込まれた食べ物や薬は、食道を通り、胃へたどり着きます。

 胃の中では、胃液が、食べ物や薬を待ちかまえています。さて、この胃液。ペプシノーゲンという物質と胃酸がまじりあってできています。ペプシノーゲンは胃酸によって、ペプシンという消化酵素に変化し、タンパク質をペプトンに分解します。

 この胃液で、胃の中に入ったものはどろどろに溶けていきます。

 真っ先に溶けるのが、粉薬。そして、顆粒。錠剤はある程度大きいので溶けるのに時間がかかります。

 ところが! 薬の中にはこの段階で溶けると困る薬があるんですね。

 たとえば、アスピリンなどの痛み止め。痛み止めは、痛みの原因物質であるプロスタグランジンをやっつける効果があります。でも、胃壁を守っているのも実はこのプロスタグランジン。ここで痛み止めに働いてもらっちゃ困るわけです。痛いのを止めたいから痛み止めを飲むのに、胃まで痛くなってしまっては本末転倒ですね。

 「じゃ、どうするの?」

 痛み止めと一緒に、胃壁を守るバリアとなってくれる胃薬を飲む、という手もあります。

 「え〜? そんなの、面倒くさい!」

 そうですよね。薬は飲まずに済めばそれにこしたことはありません。そこで、腸溶錠の出番です! 腸溶錠のコーティングは、胃酸やペプシンでは溶けず、そのまま、他の薬や食べ物と一緒にどんぶらこっこと流れていきます。

 腸溶剤に加工される薬は、

1.胃粘膜を強く刺激する。

2.悪心・嘔吐を起こす。

3.胃酸により分解、効力低減してしまうもの。

4.薬効発現時間を遅らせ、持続時間を延長させたいもの。

 があります。

 こんな風に、消化液で消化されることをあらかじめ考えて、溶けるのを早くしたり、遅くしたりして、「素早く効く薬」「速く効くけど、持続して効く薬」になるよう、剤形は色々と考えられているのです、

 胃の次に通るのが十二指腸。ここでは色々な消化液が出てきます。膵臓から出る膵液が、ペプトンをアミノ酸に、デンプンから変化した麦芽糖をブドウ糖へ、脂肪を脂肪酸とグリセリンへと変えてゆきます。ここで、登場する胆液が、膵液をサポート。油を溶けやすくしてくれます。

 小腸までたどり着くと、やはり同じように、消化液が雨あられと降り注いできて、やっと腸溶剤のコーティングも溶けて、薬は崩れてどろどろになるのです。

 小腸は、曲がりくねった長い長い管になっています。ただ長いだけではありません。小腸の表面は細かいヒダになっています。それを全部伸ばすと、何とテニスコートくらいの広さになってしまうと言うからびっくりですね。

 このヒダは、無駄にぴらぴらとたくさんついてるわけではありません。小腸に入ってきた栄養素や薬の成分を体内へと吸収しやすくしてくれるという大切な役割を持っているのです。

 さあ。食べ物も薬も、小腸から体内へと吸収されていきます。

 糖類やアミノ酸は毛細血管へ。

 脂肪酸とグリセリンはリンパ管へ。

 そこから、一体どこに運ばれていくのでしょう?

 

 


〈続く〉

真宮里沙

投稿日:2007年8月2日

 

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