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HOME>>真宮薬剤師コラム>>薬の剤形について2

薬の剤形について2 内服薬 カプセル剤編

 前回は、剤形について大まかな説明と、それから錠剤についてのお話をしました。今回はその続きで、内服薬の中のカプセル剤についてお話ししましょう。これから回を追って、他の剤形についても説明していきますね。

【カプセル剤】

〈カプセル剤とは?〉

 カプセル剤は1833年にフランスで発明された剤形です。液剤や粉剤に比べて長期間の保存が簡単にでき、携帯にも便利なところは錠剤と同じです。また、カプセルが体内で溶けることで中の薬が速やかに分散します。苦みなどの味やきつい臭いなどで飲みにくい薬を飲みやすくする便利な剤形でもあります。

 欠点としては、人によってはカプセルが喉にくっついて飲みにくい場合もあるということ、水性液剤や水溶性塩には不向きであることがあげられます。

 カプセル剤には硬カプセル剤と軟カプセル剤が主なものですが、変わり種として中に錠剤が入っている物もあります。

 また、カプセルが苦手な人のために、外側を柔らかくしたソフトジェルタイプのものも出てきました。サプリメントではこのタイプが増えているようです。

・硬カプセル

 本体部分に粉、顆粒を詰め、蓋をかぶせてあります。数種の顆粒を詰めてある市販薬などでは、本体部分を透明にして中が見えるようにしてあるものもよく見かけますね。最近では油状の液体を硬カプセルに入れることもできるようになりました。

・軟カプセル

 ペースト、液状の薬が入っている場合が多い。密封されているので開けられません。

〈カプセル剤は何でできてる?〉

 カプセルの中身は色々な種類の薬です。では、外側の入れ物は何でできてるのでしょう?

 答えは、ゼラチンです。

あとはグリセリンやソルビトールなどで形を整えています。

 さて、ゼラチンは動物の骨や皮などに含まれているコラーゲンから得られるタンパク質の一種です。

無味無臭で加工が簡単なのでカプセル剤の他にも、色々な物に使われている便利な物質です。カプセル剤が誕生した19世紀の初めか200年近くもの間、ゼラチンはカプセル剤の材料として大いに活用されてきました。

 ところが、最近になって大きな問題が出てきてしまったのです。

 カプセル剤の原料のゼラチンは牛由来の物が大部分を占めていました。何しろ、世界中で牛は食用として消費をされていましたから、食用の肉を取った後の皮や骨もふんだんにあったのです。

 そこに降って湧いたように起きたのがBSE問題です。狂牛病という名で私たちの耳にその病気のことが入ってきたのは結構以前のことでしたが、その時はまだ地域がイギリスに限定されていました。イギリスから牛肉を輸入していない日本では、よその国の問題だという意識が強かったのではないでしょうか。

 それが、輸入の大部分を担っていたアメリカでBSEが発生したとき、事態は一変しました。スーパーからはアメリカ産牛肉が姿を消し、牛丼チェーン店は主力商品を失ってしまったのです。

 ゼラチンは牛由来のものが大部分でしたから、製薬メーカーも打撃を受けました。アメリカ産の牛由来のゼラチンは使用禁止になり、牛由来のゼラチンはニュージーランド産のものに切り替えられ、また、代替品として、豚のゼラチンを使うようになりました。

 また、BSEに限らず鳥インフルエンザなど、食用肉からの脅威が浮き彫りになってきた今、動物由来のものはもう安全とは言えなくなってきました。カプセル剤も、ゼラチンだけではなく、植物繊維のセルロース由来のものが開発されています。この傾向は今後ますます強くなってくると思われます。

 以前血液製剤からAIDSが発症するという重大な医療事故が起こって以来、医薬品の安全性は厳しく管理されるようになりました。ですから、医薬品のカプセルでアメリカ産の牛ゼラチンが使用されていることはありませんが、輸入サプリメントなどには気をつけてください。

 原料の覧に『ゼラチン』とあったら、それが牛由来のものなのか、豚由来のものなのか、牛由来ならニュージーランド産のものかどうか、きちんと確かめるようにしてください。(関連コラム 鳥インフルエンザとBSE ・鳥インフルエンザはなぜ怖い? )

 

〈カプセル剤は開けないで〉

 薬の正しい飲み方でも説明しましたが、硬カプセルは一応蓋が開けられるようになっていますが、蓋を開けて中身を出さずに、そのまま飲むようにしてください。

 実は私、これには暗ーい思い出があります。

今から30年以上前の話です。多分インフルエンザにでもかかっていたのか、高熱が下がらなかったことがあります。日曜の夜だったことをかすかに覚えています。小児科は休みだし、かといって救急にかかるほどせっぱつまってはいない――――そして、うちには抗生物質のカプセルがあったのです。なまじっか医療系の両親だったのが災いしました。その薬の小児用の分量を、うちの親はわかってたんですね。

 それで、カプセルを開けて小児用に量を減らし、私に飲ませようとしたのです――というか、飲まされたんですが。それが、もう、もっっのすっっっごく苦かったんですね!!!!! 量は減らしてあるから僅かなものだったんですが、物心ついてるかついてないかのコドモがそんな苦いもの、飲みたがるわけないじゃありませんか。

 あんまり私がイヤがるので、『そうか、甘ければいいんだな』とでも考えたのでしょう。私の前に、カルピスの入ったコップが置かれました。

 甘い甘いカルピス。

 冷たくておいしいカルピス。

 いつもなら、大好きなカルピスだったので、私もついつい騙されたのが所詮幼児の浅はかさでありました。甘い飲み物と苦い粉薬。この組み合わせがサイテーだということを、私は身をもって学びました。こうやって書いているだけで、あの時の甘さと苦さが入り交じったとんでもない味がよみがえってきて、何だか舌がしびれそうな気がします。

 私の暗い思い出はさておき、味の問題もありますが、カプセルに加工してある薬は、カプセルの状態がいちばんいい状態で薬を体内に届けることができるようになっています。そんな風にきちんと工夫されているので、カプセルはそのまま飲んでください。

 ――――と、いくら薬局で説明してもカプセルをあけて飲む人があとを絶たなかったのでしょう。いつしか、注意書きに「そのまま飲んでください」という一文が添えられるようになりました。これがまた、新たなる問題を引き起こしたのです。

 つまり、今度はシートから出さず、シートごとそのまま飲んでしまう人が出てきてしまったんです!!

 もちろん、そんなことをすればどんなことになるか、想像はつくと思います。まず普通は痛くて飲み込めないと思うのですが、それを無理矢理飲み込むとても律儀な人たちが意外といらっしゃって、医療関係者は頭を抱える羽目になりました。まさか、そのまま飲んでくださいということをそんな風に解釈されるなんて思いもしなかったのですから。

 前にもお話ししましたが、そんなわけで薬のシートは一つずつ手でバラバラにできるような形から、縦の折り線を失くした今の形になったのです。錠剤のシートもあおりを食らって同じ形になりました。

 みなさんが、きちんと説明通りに薬を飲んでくれたなら、こういう問題も減ってくるでしょう。もし、説明がわかりにくかったり、疑問に思うことがあったら、薬剤師なり医師なりに何でも訊いて下さい。

〈続く〉

真宮里沙

 

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