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HOME>>真宮薬剤師コラム>>感染症とその薬 3

感染症とその薬

-3-

 

〈抗生物質の問題点〉

 細菌感染の際に、とても大きな効果が期待できる抗生物質ですが、やはり問題点はあります。

 抗生剤が細菌には様々な効果があるけれど、人には害を及ぼさないことは前回お話ししましたね。確かに、人体そのものは影響はうけません。でも、私たちの身体の中には、私たちと共存している有益な、あるいは無害な細菌が存在するのです。抗生剤は、病気の原因菌だけでなく、有益な体内の細菌も区別なく攻撃するのです。腸内細菌は健康のために必要な細菌群ですが、このバランスが崩れてしまうと様々な問題が起きてきます。

〈耐性菌について〉

・耐性菌とは

 耐性菌の存在も大きな問題です。耐性菌とは、今まで効いていた薬に抵抗力を持ち、薬が効かなくなってしまった細菌のことです。

 せっかく抗生物質が発見され、細菌に対する対抗策が生まれたのに、その抗生物質が効かないというのは大変なことです!

 この数十年の間に、様々な感染症が抗生物質のおかげで「死に至る病」から「抗生物質で治る病気」になり、私たちもそれにすっかり慣れてしまいました。

 抗生物質さえ飲めば大丈夫――そんな安心感をひっくり返すのがこの耐性菌の誕生なのです。

 耐性菌に進化したせいで、それまでたいしたことないと思われていた病気が重症化したり、なかなか治りにくくなったり、院内感染を引き起こしたりするようになりました。

 もちろん、医療界も、それを黙ってみていたわけではありません。耐性菌ができたなら、耐性菌に効く薬を作ればいい。そうやって、新たな薬が開発されました。

 ところが、そうすると、またしても細菌の方が進化して新たな耐性菌となってしまうから困りもの。

・耐性菌ができる原因

 では、耐性菌は、どうやって進化するのでしょう?

 その原因の一つが抗生物質の乱用です。「とにかく抗生物質を出しておけばいい」という風潮が、抗生物質が効かない耐性菌を生み出す原因の一つとなったのは皮肉なことです。

 よく効く薬であるからこそ、適切に使用しなければなりません。それは、処方する側も、飲む側である私たちも同じことなのです。

 抗生物質は、それぞれ「この種類の細菌によく効く」という得意分野があります。ですから、有効な抗生物質を適切な量、適切な期間使用することがとても大切なのです。

 量が少なかったり、私たちが自己判断で「もう治ったからいいや」と勝手に薬をのむのをやめてしまうと、身体の中に残っている細菌は薬に晒されたけれども生き残ったということになり、その薬に慣れてしまって、だんだんとその薬に対する「耐性」を身につけて、そしてあちこちへ広がって増えていくのです。

・耐性菌に対抗していくために

 耐性菌に対抗する新たな薬を開発することも必要ですが、細菌が進化して耐性菌にならないよう、抗生物質の適切な投与、そして抗生物質の適切な飲み方を守ることも、とても大切なことなのです。

 私たちは薬を開発することはできませんが、決められたとおりに薬をのむことはできますね。

自分にできる範囲のことでも、私たちは立派に医療に貢献することができるのです。

〈婦人科でよくある感染症〉

STDのような性感染症ではありませんが、婦人科でよく見られる感染症の一つに細菌性膣症があります。

 通常、症状は軽く、「おりものが多い」「何だか匂いが気になる」といった程度ですが、かゆみを伴う場合もあります。

 膣は外界と接しているため、様々な細菌が入ってきやすくなっています。侵入してきた細菌が繁殖しないようにするため、一役買っているのがデーテルライン桿菌という細菌です。デーテルライン桿菌は乳酸を産生することで膣内を常に酸性に保ち、他の細菌や真菌が繁殖しにくくしてくれるのです。

 ところが、何らかの原因でデーテルライン桿菌が減少すると、ガードネレラ菌などの嫌気性菌が繁殖して炎症を引き起こします。

 妊婦が細菌性膣症になった場合、絨毛羊膜炎から前期破水、早産などを引き起こしやすいと言われています。

 細菌性膣症の治療にはクロマイ膣錠(chloramphenicol)、フラジール膣錠(metronidazole)が用いられます。

 ※フラジール膣錠はこの場合保険適用外です

〈続く〉

真宮里沙

 

投稿日:2007年7月7日

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