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HOME>>真宮薬剤師コラム>>感染症とその薬 2

感染症とその薬

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 これから、STDを例にして感染症とその薬についてお話ししていくわけですが、STDとは一体何のことなのでしょう?

Sexualliy(性により)Transmitted(感染する) Diseases(病気)の頭文字をとってSTDと呼びます。日本語では性感染症といい、数ある感染症の中でも、性行為によって感染する感染症のことを指します。

〈細菌による感染症とその薬〉

STDと一口に言っても、色々種類があるのですが、その中でも今、もっとも感染者が多いと言われているのがクラミジアと淋病です。年々感染者が増加傾向にあり、中でも若年層への感染が顕著になってきているこの二つの病気の原因となっているのは細菌です。

「細菌に感染してしまったときにはどうすればいいいの?」

 この疑問にお答えするには、細菌についてもう少しお話しする必要があります。細菌とウィルスの違いや、細菌が生きているということについては前回お話ししましたね。

 細菌は動物や植物と同じように細胞を持っています。そして、水と栄養があればどんどん増えていきます。細菌は感染症を引き起こす悪いヤツもいますが、私たちの生活に役立ってくれるものもたくさんあります。お酒やヨーグルト、納豆を作るのに細菌は欠かせません。

 ところがやっかいなことに、細菌というヤツは、こっちから「便利だから増やそう」と思っても簡単に増えないくせに、増えちゃ困る、病原体となる細菌が私たちの身体にはいると、どんどんどんどん勝手に増えていって、私たちを病気にしてしまうのです。

 ヒトの細胞がひとりあたり6兆個もあるのに対して、細菌はたった一つの細胞しか持っていません。でも、細胞の構造自体はほとんどヒトと同じで、DNAやRNAを持っています。DNAは生物の設計図である遺伝情報が書き込まれていて、その設計図を元にして、タンパク質を作っていきます。DNAがあるから、細菌は自己増殖を繰り返していくことができるのです。

そんな細菌の細胞ですが、一つ、ヒトや動物の細胞とは大きく違うところがあります。それは、細胞膜の外側に細胞壁を持っているということです。

 そんな細菌に対抗する手段として見つけられたのが抗菌剤という種類の薬たちだったのです。

〈抗菌剤のメカニズム〉

 抗菌剤が発見されるまで、あらゆる感染症は死と深く結びつく恐ろしい存在でした。抗菌剤の発見により、医学は大きな発展を遂げたと言っても過言ではありません。その大いなる発見から今日まで、わずか80年しか経っていないのです。

 二次大戦で「魔法の弾丸」と呼ばれ、戦場の感染症拡大を防いだ抗菌剤。

 そのメカニズムとはどんなものなのでしょう。

 抗菌剤が感染症に効果を発するメカニズムは大きく分けて3つ。

・細菌を殺す殺菌作用

 たとえ細菌に感染しても、身体に入り込んだ細菌だけを殺すことができれば症状が重くなる前に、感染症を治すことができますね。でも、ヒトの身体も細菌も、『細胞』からできています。どうすれば細菌だけ狙い撃ちすることができるでしょうか?

「ヒトの細胞と違うところを見つけて攻撃すればいいんじゃない?」

 そう! その通りです。ヒトと細菌の細胞の違うところ。それは、細菌には細胞壁があるというところでした。ペニシリン系やセフェム系の抗生物質は、細菌が細胞壁を作るのを防ぎ、細胞を内圧で破裂させることで細菌を殺す作用があります。 

・細菌の増殖を防ぐ静菌作用

 直接細菌を殺すのが殺菌作用なら、細菌の増殖を防ぐのが静菌作用。細菌は増殖していくことで生きていますので、増えることができなくなると、直接殺さなくても自然に死んでいってくれるのです。

 細胞が分裂して増えるとき、DNAの複製やタンパク質合成のために酵素を使います。その時必要な酵素は、ヒトと細菌では似ているけれど違うものなのです。静菌作用のある抗菌剤は、この酵素を攻撃して細菌の増殖を阻みます。

 キノロン系の薬はDNAの二重螺旋が解けるのに必要な酵素を攻撃し、サルファ剤はRNAのアミノ酸合成に必要な物質を作れないようにしてしまいます。

・細菌のからだをつくるのに必要なタンパク質合成を妨害する作用

 タンパク質の合成をジャマするためには、幾つかの方法があります。

テトラサイクリン系:アミノ酸がDNAの情報通りに並ぶのを阻害する

アミノグリコシド系:DNAの情報とは違うアミノ酸を結合させ、情報通りのタンパク質を合成できなくさせる。

リファンピシン:遺伝情報をリボゾームに運ぶm-RNAを作れなくする

マクロライド系:リボゾームRNAの機能を阻害する

〈続く〉

                                    
真宮里沙
                                    

 

投稿日:2007年7月7日

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