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感染症とその薬-10-
〈寄生虫とその仲間〉目黒の寄生虫博物館が話題になり、それまでよりも人々によく知られるようになった寄生虫。メジャーなところではサナダムシやギョウ虫などがありますね。 寄生の定義とはどういうものなのでしょう。 1)寄生されている宿主の栄養摂取源をかすめとって生きていること。 以上があげられます。 「それじゃ、今までの細菌やウィルスだって寄生じゃないの? 寄生虫とはどう違うの?」 はい、確かに病原細菌やウィルスも「寄生」の定義を満たしています。でも、寄生虫とその仲間とは、決定的に違う部分があるんですね。 寄生虫の仲間に原虫というものがあります。原虫は原生生物というカテゴリに属します。真核単細胞の微生物であって動物的なものの中で、寄生性で病原性のあるものを指します。 〈寄生虫の特徴〉ヒトや動物の体内に寄生する内部寄生虫は、何しろヒトサマの栄養をかすめ取って生きているので、運動器官や感覚器官、消化器官などの中に「無くても別に困らない」モノが色々あります。なくても困らないモノは使わないので、どんどん退化していきます。逆に、「これはないと困る!」というものは発達します。動物ですから、無いと絶対困るのは生殖器官です。中には生殖器官だけになってしまうような場合もあります。 そういえば、ウィルスはDNAやRNAとタンパク質だけでできていましたね。あれぞ、自己増殖のための究極の形と言えるでしょう。 そんな寄生虫にとっての最大の命題は「いかにして宿主に寄生するか」です。寄生しないと生きていけないから、それはもう大問題なのです。寄生虫も1個体の宿主だけに一生寄生してるわけではなく、宿主から宿主へと渡り歩いています。 食生活の変化にともなって、寄生虫とヒトの関係も変化してきています。たとえば、回虫は卵は大便と共に排出され、堆肥として畑に撒かれることで野菜などに付着し、食物として人の口に進入するというルートを使っていますが、糞便を肥料にすることがほとんど無くなった現代では、回虫は激減しています。 〈寄生虫の効用〉効用など無く、搾取する一方だから寄生虫と呼ばれるわけなのですが、この10数年ほどの間に、寄生虫にも効用があるという研究がなされてきています。 その一人が藤田紘一郎博士です。「笑うカイチュウ」など、多くの寄生虫に関する著書で有名ですね。藤田博士の研究によれば、花粉症などのアレルギー症状を抑制するのに有効な成分を、サナダムシなどの一部の寄生虫が分泌しているというのです。 戦前は、回虫やサナダムシは多くの人が持っている寄生虫でしたが、現在は患者数も減ってきています。そのことが、近年の花粉症患者の急激な増大の原因であると、博士は指摘しています。 花粉症は症状が酷い人は本当に辛いので、その説が出たときには「花粉症で苦しむか、寄生虫を飼うか」という『究極の選択』を真面目に討論したりする花粉症患者もいたほどです。 現段階では副作用の問題もあり、実用化には至っていませんが、無毒化したウジ虫を使って、傷口の腐肉を除去する療法が出て来ているほどですから、近い将来にはサナダムシの実用化も夢ではないかも知れませんね。 〈続く〉 真宮里沙
投稿日:2008年2月5日 |
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